現在オリジナルストーリー 「あの日をもう一度」 不定期ながら公開予定
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プロローグ




『40-15 ――』
『チャンピオンポイント 御巫』

一際大きい拍手とこの日一番の歓声が会場を包み込んだ。

「・・・あと1ポイントで優勝、か。約束は守れそうだな」

不思議と緊張感は無かった。
それどころか、この歓声とすぐに訪れる一瞬の静けさが心地よくも思えるくらいだ。
オレはチラッと応援席の方に視線を向ける。

――その先には

「殺れ~!潰せ~!」

およそテニスの応援とは思えないセリフを発してる女の子と
心配そうにこちらを見つめる一人の女の子がいた。

「約束、しちまったからな・・・」


 『今年のインターハイ、必ず優勝してお前にカップを持ってきてやるからな』
 『ホントっ?絶対だよ?必ずだよ?約束だよ!』
 『ああ、必ずだ。約束する』
 『わ~~い、がんばってねお兄ちゃん』


ふぅ、と一息ついて気合を入れなおす。
「よし、エースで決めてやるっ」
オレは高々とボールをトスした
鞭のようにしなった腕から、サーブが繰り出される――はずだった。
「――!!」
ラケットは力無く空を切り、高く上げられたボールはそのまま地面に落ちた。
「・・・っぅぁあぁああっ!!」
オレは声にならない声を上げて、コートに崩れ落ちた。





「・・・ちゃん ・・ぃちゃん お兄ちゃん!」

誰かが呼んでいる。
"お兄ちゃん"の辺りから莉乃が心配してくれているのだろうか。

「ん・・・んん・・・り・・・の・・・?だいじょうぶ・・心配はいらないぞぉ・・・」
そう言って、ビシッと親指を立ててやった。
「お兄ちゃんっ何寝ぼけてるんだよぉ。全然大丈夫じゃない!早く起きろ!遅刻するよ!」
「・・・遅刻。・・・あれ?・・夢・・・なのか・・・?」

どうやら夢オチらしい。最近見てない夢だった。一年も前のことだから当然といえば当然だが。
しかし、妙にリアルすぎてまだ頭がボーっとする。
おまけに寝ているときにずっと右肩を抑えていたらしい。シャツがシワだらけになっていて、うっすら湿っていた。
いまさらあんな夢見てもオレには関係無いんだけどなぁ、そんなことを思っていると

「お兄ちゃん・・・起きないなら・・・こうだっ!」

シュッ
「っふ!」
パシンッ

――ボカッ

「!いてぇ!何だ!?」

オレはバッと体を起こし、とっさに床を見た。
「テニス・・・ボール」
まさかと思いつつ、恐る恐る目線を上げてみた。
その視線の先には・・・
テニスラケットを手に『今まさにサーブを打ちましたよ』というカッコをしている
妹の莉乃が居た。

「あらお目覚めですの? お・兄・様」

ふむ、かなりご機嫌斜めのご様子。お兄様の部分なんてドスが効いていて怖い。
おまけに莉乃の手には『もう1球あるんだぞ』とアピールするように
ポーンポーンと手の上で投げて遊んでいる。
まずい、次喰らったら脳震盪をを起こしかねない。そうなれば違った意味で2度寝になってしまう。

「ごめんごめん、起こしてくれてありがとう。莉乃が居なかったら起きれなかったなぁ~」
ご機嫌を取るように言う。テキトウに言う。
「そぉ♪じゃあすぐ支度してね。時間無いんだから早くね」
そう言い残して部屋を後にした。

(・・・助かった)

心の底から思った。あいつが怒ると手がつけられないからな・・・・。
遅刻どころか、学校を休んであいつの機嫌を直さねばならなくなる。

「ふぃ~・・」
と、息をついた瞬間だった。

――バンッ!!

オレの頬をかすめて壁にテニスボールが突き刺さった。
全てお見通しだったらしい・・・。

「・・・甘かった」

ガクッ






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